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木造観世音菩薩立像[もくぞうかんぜおんぼさつりゅうぞう](国分寺)
木造観世音菩薩立像[もくぞうかんぜおんぼさつりゅうぞう](国分寺)
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 国 |
所在地 | 高山市総和町 |
所有者 | 国分寺 |
指定年月日 |
明治34年3月27日 |
この観世音菩薩立像は、一木割矧造[いちぼくわりはぎづくり]で、原容は彩色の堂々たる像であったが、現在は色彩が剥落して木地が露わとなっている。面容は厚く丸みがあり、彫眼で天冠台は薄く、宝髻[ほうけい]はやや大きく高い。口角が締まり緊張感を伝えている。光背、台座ともに後補である。
平安後期の制作と考えられるこの像は、旧国分尼寺の本尊であったと伝わる。
観世音とは旧訳であり、中世以後は一般に聖観音という。これは十一面観音、千手観音、如意輪観音などの変化する観音に対し、変化しない本来の観音として、便宜上、聖の字を頭に冠したものである。諸菩薩の中で最も広く信仰されており、経典中に聖観音を説かない経義[きょうぎ]はないとも言われる。西方極楽世界における阿弥陀如来の左脇侍として慈悲の象徴となり、知恵を表す勢至菩薩と相対して阿弥陀如来を助けている。また娑婆[しゃば]世界では、三十三身に変わって一切衆生の苦悩を解脱するとされる。
