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熊野神社本殿[くまのじんじゃほんでん]

熊野神社本殿​​くまのじんじゃほんでん​

分類 重要文化財
指定別
所在地 高山市国府町西門前
所有者 熊野神社
指定年月日

昭和54年2月3日

 この本殿は、桁行1.827m、梁間(庇とも)1.073mの流れ見世棚造で、身舎[もや]正面は床立柱を立てて3間にしているが、身舎背面と庇正面は1間である。土台を廻し、身舎は円柱腰長押[なげし]、正面のみ半長押、内法長押打ち隅柱にのみ丸桁[がんぎょう]と一木の舟肘木[ふなひじき]を組み、軒は一軒繁垂木[ひとのきしげたるき]とする。
 妻は虹梁[こうりょう]揆束を立て、束の上部には花肘木状の絵様を造りだし、斗を置いて指棟を受ける。庇は面取り方柱(面の大きさ約10分の1)に腰長押を打ち、連三斗[つれみっと]を組む。頭貫[かしらぬき]はなく、左右の柱上でそれぞれ内方に象鼻状に造り、外方は繰形[くりかた]を付けた肘木形をしている。肘木の形は唐様[からよう]で、巻斗を一木で造りだし、巻斗は直接丸桁を支持する。庇と身舎とは海老虹梁[えびこうりょう]で繋ぎ、軒は打越垂木とする。身舎の柱間は正面3間が板扉、他は横板壁とする。正面の板扉は、中央間のみ内法長押を一段上げて扉口を高くしていたものを、昭和61年10月からの修理により、3間通しに復して戸口の高さを旧規に復した。この修理の際、切除された背面の軒、正面軒の欠失した布裏甲、降懸魚なども復旧され、棟及び鬼板も整えられた。
 屋根は柿葺[こけらぶき]で、けらばには軒付を積まず堰萱となり、そのため箕甲[みのこう]はほとんどなく、破風板との間には三日月形の板をはめていたが、破風板上の櫛形を撤去して布裏甲を復し、箕甲を整えた。
 庇頭貫や妻飾[つまかざり]の珍しい手法や、屋根けらばの古式な納まりなどみるべき点が多い。歴史的にも荒城神社、阿多由太神社本殿に続くもので、飛騨地方の神社建築の流れを知るうえでも重要である。

熊野神社本殿