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円空作仏像[えんくうさくぶつぞう](桂峰寺)
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 高山市上宝町長倉 |
所有者 | 桂峰寺 |
指定年月日 | 昭和44年8月5日 |
- 一木造彫眼
- 像高左善女龍王:70.0cm中央十一面観音:100.0cm右今上天皇:70.0cm
円空は、約300年前、平湯、新穂高、中尾、双六方面に滞在し、主として民家に多くの仏像を残した。この桂峯寺の三躯の彫刻は、善女龍王像、十一面観音像、今上天皇像である。これらの円空仏は、昭和35年までは、双六谷の金木戸観音堂にあったものである。元禄3年(1690)9月、円空は双六嶽に登山しようと出発したが、大雨のために登山できないで引き返し、これらの作品を造って祈祷したところ、たちまち晴れて、初めて双六嶽に登ることができたと伝えられている。
特に善女龍王は、農民を守る天気の神である。円空はこれを信仰して、各地に善女龍王像を残している。円空仏として今上天皇は、非常に珍しいものである。背面に元禄三年庚申九月、乗鞍嶽、保多嶽、伊応嶽、錫杖嶽、双六嶽、権現嶽、□□嶽と墨書があり、円空彫刻として年号など墨書のあるものは極めて少なく貴重な存在である。十一面観音は実に美しい仏像で、純情な少女を連想させる傑作である。